サラリーマンで安定した収入があるのに自己破産してしまった場合、免責決定までに時間がかかる場合があります。
私の担当弁護士さんも、「半年間、実績を作ってから、免責の判定をしてもらいましょう!」と仰られました。
「半年間の実績」というのは、「この人は、反省して、もう二度と同じことを繰り返しません」という証拠を、行動として示す・・ということです。
その「半年間の流れ」について、本記事では、解説いたします
悪い習慣を断ち切る
サラリーマンが自己破産をする理由の多くは「ギャンブル」「浪費」「風俗」「男女関係」だそうです。とくに「ギャンブル」と「浪費」は多いと言います。
私の場合は「男女関係」に該当し、お金を借りては女性に送金し続けていました。その証拠は、銀行通常に全て記録されています。毎月、巨額のお金を同じ名前の女性に送金している「悪い習慣」です。一目瞭然でした。
ですから「自己破産をする!」と決めた瞬間から、女性への送金は全てストップです。
弁護士さんとは腹を割って話し、その女性とは「縁を切った」と説明し、もう「電話番号も変わってしまって行方が分からなくなった」と言いました。
心の底のどこかに嘘があっても良いし、それは人間だから仕方が無いと思います。
でも、免責までの半年間は、弁護士さんとの約束は絶対に守りましょう。そこをクリア出来ないと、自己破産は成功しません。
カードと契約書を全て渡す
心の約束が出来たら、早速、手続きの開始です。
まず、最初に行うのが「弁護士さんとの委任契約」です。これは、借金の取扱を全て弁護士さんに任せますよ!という意思表示の契約となります。形式的なものです。
次に、借金に関連する「クレジットカード」「ローン契約書」「ローン付き銀行カード」等を全て、弁護士さんに手渡します。
この、カードを手渡す日が「弁護士さんへの債務整理委任開始日」となりますので、予め日取りを決めておき、この日は会社を休みましょう。
そして、この日を境に、借金の返済は停止しなくてはなりません。
殆どの返済は自動引き落としになっていると思いますので、引き落としされないよう、引き落とし銀行口座は残高を空っぽにしておきます。
(既存の銀行口座を空っぽにしておくため、債務整理・自己破産中は、新しく銀行口座を作ることを勧められます。私も、今まで持っていなかった有名都銀の銀行口座を新たに作り、弁護士さんとの金銭の授受にも使いました。)
弁護士さんは「債務整理受任通知書」を全クレジットカード会社、全ローン会社、全銀行にFAXで通知します。
と同時に、カードを裁断して、封書でも各社に送付します。
こうすることによって、各カード会社も、支払い請求をしてこなくなります。
資産価値の算出
次に行うのが自分がどれだけの資産を持っているか? の算出です。
自己破産を行うと、貯金などの個人資産を全て「差し押さえられる」と聞いたことがありませんか?
実際には本当に差し押さえられる事はありませんが、代わりに、それ相応の金額を「支払う」ことになります。
ここで支払ったお金は、全て債権者さんに分配されます。つまり、「今払える精一杯の金額を支払ったんだから、残りの金額は許してね!」という理屈なのです。
自己破産するというのは、そういう意味なんです。
資産として家や土地を持っていたら大変ですよね。それについても資産価値を計算して、それに見合った金額を払わなければならないのです。
用意出来ない場合は、本当に売却するしかありません。
車も資産になります。高級車に乗っていたら、まぁ、売却するしか無いですよね。
サラリーマンの場合、退職金が資産価値として計上されます。
私は社内文書を必死に探して「今、会社を辞めたら、いくら退職金を貰えるか?」を算出して、弁護士さんに提出しました。
実際には「退職金見込額の8分の1」が没収される差し押さえ額になります。
なるべく質素に暮らす
反省したことを証明する半年間は、お金の動きを全て記録しておく必要があるし、銀行口座の入出金もオープンにしなくてはなりません。
そのため、そのお金の使い方に不審な点があれば、免責の判定に影響します。
一度に大きなお金を引き出すのもタブーです。私は何度か失敗してしまい、「大きなお金の移動は貯金として扱われ、没収」されてしまいました!
基準をよく知らなかったのですが、「10万円未満の少額を、ちょこちょこと引き出して使う」という質素な生活をしないと疑われるそうです。なかなか、面倒ですね!
振り込まれた給料を、今までの銀行口座に残しておくのも印象が良くないので、ちょこちょこと引き出して、タンス預金か、弁護士さんとの共用の口座に移動してしまいましょう。
免責前にはお金を精算するため、大きなお金が必要です。そのお金は、弁護士さんとの共用の口座に貯めておくのが一番安全なのです。
反省文(申告書)を書く
自己破産というのは、未来へ進む為の前向きな行動です。
一生に一度だけ、その行動を加速させるため、借金をチャラにして下さい・・というお願いをする訳です。
お願いされた側は「反省しているようだし」「もう二度と同じことを繰り返さないのなら」「今回に限り特別に」チャラにしても良いよ・・と判断します。
そういった判断を促すための、大事な文章が「反省文」です。これが、しっかり出来ていないと、自己破産は免責されません。
いくつかのポイントがあります。
- 今回、自己破産に至った原因を明確にする
- その原因となる物・事柄が、現在は解消していることを示す
- これから、どう生きていきたいか?前向きな姿勢を見せる
この3つが出来ていれば大丈夫です。
あとは、正直に書いて、弁護士さんに任せます。弁護士さんが、裁判に向けた「申告書」として仕上げてくれます。余計なことが書かれていれば、削除・修正してくれます。
状況報告書を書く
半年間の実績作りも後半に差し掛かると、裁判に向けた「現状の報告書」を作ります。これは、半年の行動の中で、説明が必要な部分のフィードバックという位置づけのものです。
実際には以下のような内容を記載します。
- 大きなお金の流れがあった場合、その理由・用途を記述する
- 裁判前に残っている資産(銀行口座残高の合計)を明確にする
- その他、管財人から指示があった内容に回答する
管財人というのは、破産者の状況を調査し、「この人なら反省しているし大丈夫でしょう!」と証明してくれる役柄の弁護士で、主担当弁護士から選任されます。
主担当弁護士は、破産者に有利になるように自己破産の流れをコントロールするのに対し、管財人は破産者と債権者それぞれの立場を公平に判断し、財産分配の細かな実務も担当します。
立場の異なる2人の弁護士が動くことで、返済能力の高いサラリーマンの自己破産においても、免責が認められる確率が大幅にアップします。
裁判所へ行く
半年の実績を経ると、いよいよ裁判所から呼び出し・・となります。
免責判定の為の裁判は、平日に行われます。会社を休んで行くことになります。
自己破産の裁判では、破産者・弁護士・債権者が呼ばれますが、個人の自己破産程度で債権者が同席することは、まず、ありません。
そのため、非常に少人数で、あっさりとした内容になりがちです。
ただ、実際に裁判所へ行くと、同じ日に大量の自己破産案件を処理するという事実に圧倒されます。
世の中には、こんなにも沢山の自己破産をする人が居るのか・・と、思うことでしょう。
半日潰れる覚悟で裁判所へ行くのですが、この大量の案件を流れ作業で裁判していくため、裁判所に居る時間のほとんどは「待ち時間」となります。
裁判では、簡単な質問を受けるかも知れませんが、ほとんど喋る出番もありません。事務的な報告文と確認の為の読み上げ程度です。短時間で終わってしまいます。
書類を提出し、完了です。免責の決定も、その場ではされません。後日、免責決定通知が郵送されてきます。
これで、全てが完了となります。
以上、サラリーマンの自己破産の流れを、ざっと時系列に沿って、説明しました。
他の記事で、もっと詳しい内容を解説して行きますので、参考にしてみて下さい。
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