自己破産のメリットとデメリットについてインターネットで調べると、どうしても「肯定派」の意見が目立ちますね。
その理由は何と言っても、実際に自己破産や債務整理を仕事としている人が、それらの情報を書いているからです。
私は1サラリーマンという立場で自己破産を経験し、実際にその自己破産に踏み切る時は、家族・友人、色々な人から「反対意見」を貰い、結論としては自己破産に踏み切りました。
今まさに自己破産をしようかどうか迷っている人の為に、破産者から見た、自己破産のメリットとデメリットをまとめてみました。
自己破産のメリットには金銭的なものと精神的なものがある
自己破産を行うと、本当に借金はチャラになります。私は一千万円以上借金があったのですが、全て無かったことになりました。
一千万円の借金があるとどんな生活になるか?
分かりやすく説明すると、実質年率20%なら毎年2百万円は利息のみの返済、月に直すと17万円の利息返済です。元金返済が同じ位のペースで設定されている場合は、毎月34万円の返済となります。
私は実際それに近い状態(毎月の支払いが30万円以上)になっていて、月々の収支はマイナス、それをボーナス月に補ってギリギリ生きていける状態だったのです。
こういう生活をしていると突発的な出費が発生した時に「元金返済分をまたすぐに借りなおし」しなくては現金を作れなくなり、元金は思うように減っていきません。
精神的にもボロボロの状態です。
この現実から逃げ出せるなら・・と、藁にも縋る思いで選択するのが「自己破産」という訳です。
「この先、何年かけて借金を返済するのだろうか?」と考えると気の遠くなりそうな金額、しかも元金が思うように減っていかない。
人生の大半をこれで使ってしまうような気分になります。
だから、単純にお金が得するからという物差しでは測り切れない精神的なメリットが大きいです。
弁護士さんにも言われましたが人生前向きに生きる為の第一歩として、自己破産というものをプラスイメージで考えて行きましょう。
ちょっと待て!金銭的なメリットはどれくらい受けられる?
自己破産の費用は30~80万円です(件数と条件による)。
ということは、1000万円-80万円=920万円のお得?・・と思われるかも知れませんが、実際はこれ以外にも様々なお金がかかります。
「自己破産をすると財産を全て差し押さえられる」なんて話を聞いたことはありませんか?
そうなんです。実際には差し押さえられませんが、その財産価値分の金額を債権者に公平に分配しなくてはなりません。
持ち家があったりするとヤバいです。その家を売り払えば、一千万円の借金は返せるんじゃない?・・という論理が成立してしまい、自己破産手続きをしても、金銭的メリットが大幅ダウン!!となります。
その為、持ち家のある人は、自己破産はまず行わないです。
家の次に大きいのが車です。車も財産として、売却したらどれ位の価値になるかを算出して、返済にあてる計算をします。
私は自己破産の数年前に自家用車は売り払っていました。証券やFX口座の残金も全部、売却して清算済みでした。
真面目に借金返済していたら、当たり前のようにこれらの資産は現金化して、借金の返済にあてるはずです。
資産なんて何もない、スッカラカンの状態で、私は自己破産しました。
しかし、そんな私でも、資産計算しなくてはならないものがありました。
生命保険と退職金です。
生命保険に資産価値があるのは、分かりますよね。
見落としがちなのは「退職金」です。「今、退職したら、退職金はいくら支払われるか?」これが、サラリーマンとして長く同じ会社に所属していた人に認められる資産価値になるのです。
私の場合、退職金は3百万円出る・・と判明しました。
え?まさかの「1000万円-3百万円=7百万円」のお得にしかならないの?
いえ、そんな事はありません。退職金査定の計算方法は複雑で、債権者へ分配する金額は、実際の退職金金額の「8分の1」が対象です。
とはいえ、3百万円の退職金なら40万円近くも支払わなければならないのですから、大金です!
サラリーマンが自己破産をする時に「退職金が資産計算される」という事を知っていると知らないとでは全く異なります。
これが最大の注意点となります。
自己破産のデメリットは多岐に渡る不安の数々と最後は道徳的な気持ち
自己破産のデメリットで代表的なものは「同じところからは、もう二度とお金を借りることが出来ない」ことです。
よく「クレジットカードを作れなくなる」ということを一番最初に言う方がいらっしゃいますが、私は結果的にそれはあまり気になりませんでした。
何故なら「デビットカードは自己破産後でも作れる」からです。
電子決済でクレジットカード番号の記入を求められる事ってありますよね?
そういう時、自己破産者は目の前が真っ暗になる・・そう思われています。でも、大丈夫。ジャパンネット銀行でも楽天銀行でもソフトバンクでも、デビットカードが作れます。
デビットカードは、通常のクレジットカードと比べると、使用方法に制限がかかっている場合があります。
とくに月額払いの会員費に使うことは出来ない場合があります。
でも、私はデビットカードを4種類作って、色々な使い方を試しましたが、4枚全部がNGを食らったことは無いです。
1枚でNGが出たら、別のデビットカードを試してみます。それもNGになったら、更に別のデビットカードを試してみます。4枚全部試せば、必ずどれかは与信を通過します。何とかなるもんなんです。
一方で「同じところからは、お金を借りられない」という事実は一生モノです。
5年の喪が明けようが、10年経とうが、「社内ブラック」扱いとして二度と審査は通らなくなります。
私は10社以上の所から借りていましたので、有名な金融機関はほとんどが社内ブラックです。
そこはもう、覚悟だけですね。「今生は、もう、お金を借りない生活をする。将来、マンションをローンで購入することも諦める」そう、覚悟を決めてしまえば、気持ちも楽になるのでは無いでしょうか?
まあ、本当に困ったときは「別の所からはお金を借りられる」というのが自己破産あるあるです。これについては、また、別記事で詳しく記載します。
賃貸マンション契約、引っ越し、携帯電話の月賦・・こういった審査を伴うイベントが人生には時々発生しますが、一流企業に勤務しているサラリーマンであれば、自己破産直後であろうと、審査は全て通ります。
こういうのは「なんとなく不安」という部分の一部となりますが、サラリーマンなら「その不安は取り越し苦労」という場合がほとんどです。安心して下さい。
そして最後のデメリットは「良心の呵責」です。
自己破産をする人というのは「今を逃れることに必死」な為、「自己破産は債権者に御迷惑をお掛けする行為」であることを忘れがちです。
私の場合は、家族や友人が、それを気付かさせてくれました。
これについては、あまり軽く考えず、よく考えた上で、最後の一歩を踏み出しましょう。
家族・友人は「反対してくれる」良きアドバイザー
ここまで自己破産のメリットとデメリットを書いてきましたが、自己破産を検討し始めると「メリット」の方が先行しがちになります。
無料法律相談とかに行けば、大抵は債務整理のうちのいずれかの方法を勧めてくれると思います。
そんな時に役に立つのが「絶対に他言しない親友」と家族(親・兄弟)です。
家族に内緒で自己破産は難しいので、相談すると思います。
友人も会社関係以外の親しい友人が居れば、相談する価値はあると思います。
家族・友人のほとんどは「自己破産については反対」の意見を言うはずです。余程、自己破産経験者が多い友人をお持ちであれば、違った意見もあるかと思いますが、普通のサラリーマンの友人・家族であれば「自己破産は反対」する層の方たちが大半です。
私の場合は「多数の不安要素」「会社は大丈夫なの?」「本当にしなければならないの?」「人に胸を張って出来ることではない」「できる限り他の方法を考えた方が・・」こんな風に、ありとあらゆるマイナス意見を、家族・友人から聞くことが出来ました。
私が全く気付かなかった観点から意見を言ってくれる人も居たりして、より正しい判断が出来ました。
忘れていたデメリットはありませんか?
あなたの代わりにデメリットを考えてくれた、家族・友人の意見は、真摯に受け止めて、対応すると良いですよ。
その家族・親友とも、たぶん、一生付き合っていくのですから。
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