貯蓄や財産・土地・家・マンションなどのある人は、自己破産をするメリットが少なくなる・・という事を他の記事「体験したから分かる自己破産のメリットとデメリット」でも書きました。
そんな中、最も厄介なのが「車をどうするか?」です。
自己破産をするかどうか迷う時に「今、乗っている車はどうなってしまうのか?」に悩む人が一番多いと言われています。
この記事では、あまり細かい計算は抜きにして、基本的にはどう考えれば良いか?をまとめました。
まずは車の価値を査定しよう
自己破産をする時に「自分にはいくら位の所有財産があるのか?」をある程度把握しておく必要があります。
不動産と貯金・証券、車などが代表的です。
自分の借金に対して、多すぎる自己資産があれば「それを現金化すれば借金を返せるでしょ?」という論理になり、自己破産という救済の仕組みが役に立ちません。
だから、高級車に乗っていながら自己破産する・・なんてことは到底出来ないのです。
でも、車も4~5年使うと一気に価値が下がります。まずは、いくらの価値があるのか?を査定して貰うことが大事です。
20万円以下の車ならOK
車を資産として換算するかどうか、明確な基準が設けられています。それが20万円です。
現在の自家用車の価値を車査定サービス等で査定して貰ったら、それが20万円以内かどうか?で差し押さえられるかどうか?が決まってきます。
20万円というと車の値段としては安すぎますよね。購入して3年も満たないような車であれば、価値が20万円以下なんてことは、ほぼあり得ないでしょう。
そう考えると、余程古いかボロボロの車を我慢して使っている状態でない限り、車は資産として認められ、処分の対象となってしまいます。
購入した時からすでに中古車だった・・という場合は、もしかしたらイケるかも知れませんね。
微妙だと思ったら、とにかく、査定に出すことです。
ローンが残っている場合は個別交渉
新車で購入した場合であれば、まだ車のローンが残っているかも知れませんね。
この場合も、最悪の自体になる・・と覚えておきましょう。
ローンが残っているということは、借金が残っているということになります。
しかも、車は借金の抵当に入っている状態と考えられます。
自己破産の基本は、抵当に入っているものは即没収です。
そもそも、車の名義がまだ、ローン会社の名義になっているはずですから、名義変更等の手続きを行う事すら無く、あっという間に車は「借金のカタに」取られてしまいます。
ただし、これらの判断は車のローン会社が主役であり、ローン会社の判断による部分がほとんどです。
ローン会社も、こういった自己破産や債務整理の場面に対して、扱いは慣れていますので、法律上の問題や、残債のボリューム、「生活のためにどうしても必要なものとして認められるか」など、総合的に判断して、差し押さえせずに済む方法が無いか? 相談には乗ってくれるはずです。
車のローンに関しては「主役はローン会社」「この車はローン会社の持ち物だ」と覚えておきましょう。
持ち続けることは難しい
結論として、自分が所有している車は、余程古くない限り「所有し続けることは難しい」ということになります。
自己破産の大きな足枷になりますね。
自己破産の場面において、自分の資産は様々な形で現金換算され、債権者への分配の論理から、支払い義務が発生しますが、何故か、今の法律では、車は、代金を支払えば良い・・という展開にはなりません。
自己破産宣告してから免責決定するまでの間に、管財人の手によって、処分・売却されてしまいます。
管財人というのは、自己破産による「実行役となる弁護士さん」であり、我々が債務整理を委託した「相談役の弁護士さん」から専任されます。
管財人とは会うことはほとんど無いのですが、管財人の最も重要な役割が、「所有資産の算出」と「差し押さえ対象となる資産の処分・売却」です。
つまり、車を現金に変える役割は、管財人が行います。実際、車を持っていると、管財人の仕事が増えるため、支払う手数料も割高になりますので、注意して下さい。
破産宣告してから購入
サラリーマンのように固定給のある人が自己破産をする場合、破産宣告してから免責決定まで、半年くらいかかります。
その半年の間に、安い中古車を購入すれば、「車が無くて生活できない」という状態を極力作らない対策が可能です。
元々、20万円以下の価値の車は、資産計上されません。
つまり、20万円以下の中古車を購入すれば、認められる可能性が高い・・ということです。
元々所有していた車が贅沢品である場合、自己破産とは身の丈に合わない所有物になってしまい、処分させられてしまう訳ですが、生活の為に必要で、とにかく動けば良い車の所有であれば、身の丈に合った行動です。
こういう行動は自己破産中の行動として正しいということになります。
ただし、10万円以上のお金を動かす時は、くれぐれも注意して下さい。
自己破産宣告してから自己破産免責決定までの半年は、銀行口座残高の変化にもずっと監視が入っている状態です。
大きなお金を動かせば、財産があると判断されて、没収です。
自己破産の監視期間中に車を購入する場合は、どのお金から、どうやって車を買うべきか、担当弁護士さん・その先に居る管財人に、よく相談する様にして下さい。
最終的に監視期間中の行動を定義・説明する報告書を作るのは管財人なので、担当弁護士さん一人の判断では、決めない方が良い内容になってきます。
私の場合
私もかつては300万円もする車をローンで購入して使っていましたが、その車は、なんと20年も乗り続けました。
ローンは当然完済し、車の価値も下がっていましたが、多少のプレミアもついており、廃車費用は車の売却で支払うことが出来ました。
自己破産は最後の手段であり、簡単に「自己破産すればイイじゃん」なんて思わないで欲しいものです。
私の場合は、自己破産を決意する前に、散々苦しんで、貯金も証券も保険からの引出金も、車も美術品も全て現金化して、借金返済が遅れないよう頑張ってきました。
だからこそ、自己破産の時に、もはやスッカラカンの状態であり「まだどこかに資産があるのでは?」なんて心配をせずに済んだのです。
そういう意味では、自己破産を決意する前に「まだ何か出来ることは無いのか?」を一度考えてみて、性急に自己破産に踏み切らない・・という事も、損得勘定抜きにして、考えてみるべきでは無いかな・・と私は思います。
皆さんの参考にして頂ければ幸いです。
コメント